外国出願費用を削減する(その1)。
(1)本稿から外国出願について投稿しようと思います。すでにPost19で言及したように、外国出願をするか否か慎重に検討する必要があります。出願までにかかる費用と権利化前後(拒絶理由対応や維持年金等)にかかる費用が高額になるためです。日本国内で出願する場合と異なり、外国出願する場合には各国特許庁に対する出願手続きを現地代理人に委託する必要があります。さらに、各国特許庁が求める言語に翻訳する必要があります。
(2)それでも、競合他社や市場がグローバルであれば外国出願を検討せざるを得ないでしょう。日本特許は、日本国内においてのみ効力を有するからです。そうは言っても日本以外に3か国,4か国と出願対象国を増やせば支払う費用の総額もどんどん増えてしまいます。外国出願する価値があるか否か判断できない場合や出願予定国数が増えそうな場合は、国際特許出願(PCT)制度の利用を考えましょう。各国特許庁への出願書類(翻訳文)の提出期限を原則として優先日から30か月が経過する前まで先送りできるからです。また、国際特許出願時に対象出願国数を制限する必要はなく、PCT締約国を幅広く指定しておくことができます。
(3)対象国に対する翻訳文の提出期限には約2年半の猶予期間があるので、その間に優先権の基礎とした日本特許出願に対する審査結果も出ているでしょう。また、市場動向の変化や他のアイディアを思いつき、相対的に外国出願の重要性が低下する場合も想定されます。このように短期間に外国出願の要否判断、或いは大きな出費リスクを避けることができるのが国際特許出願(PCT)制度の最大のメリットでしょう。