補足(その1)
これまでの投稿で十分でなかった点について補足したいと思います。
(1)「発明者」と「出願人」をどうするか?
発明者1人、かつ出願人が1人又は1社の場合にはあまり問題は無いでしょう。しかし発明者、或いは出願人(法人又は自然人)が複数のケースは注意が必要です。スタートアップは多くの場合、ともすると仕事に追われ、特許出願は取りあえず出しておけば良いと思われるでしょう。スタートアップ内の異なる技術者がそれぞれ発明者となったり、複数のメンバーの共同発明になるケースも多いでしょう。仮にスタートアップのメンバーの一部が離脱(退職)した場合でもその離脱者には発明者(或いは出願人)としての権利が残ります。或いは、社外協力者や企業との共同出願となる場合も考えられます。個人的な見解ですが、できるだけ他社との共同出願は避けたいと考えます。なぜならばスタートアップが保有する共有特許の持ち分を他社にライセンスや売却等する場合、他の共同出願人の了解が必要になるからです。
(2)このような問題は簡単には解決せず、争いになることも珍しくありません。できればスタートアップ創業の早い段階で予め特許等の知的財産の取り扱いについてルール化しておくのが良いでしょう。同様に他社、或いは大学等との共同出願についても慎重に検討すべきでしょう。発明者が「従業員」であれば「職務発明」に関する規定を理解しておく必要があります。職務発明については特許庁のホームページ等に説明があるので参考になります。