Startup Japanese Patent Post15

11.02.2024

出願明細書・図面をどう書くか(その2)

前回の投稿で述べた「参考書」には、「図面の描き方」について基本的なことが書かれているでしょう。本稿でも他ではあまり書かれていないような経験談等を書きたいと思います。

(1)図面中の各構成部分(部品)に対し「1,2,3・・・」等の符号を付けますが、できれば図面順であって連続した数字を付けたいと思います。しかし、既に作成した複数の図面間に新たな図面を追加、或いは新たな構成部分(部品)に符号を付ける必要が生じることも珍しくありません。そうすると新たな符号(数字)が必要になります。例えば、説明の進行に従って、1,2,3,18,4,5,・・・16,17のように「18」を割り込ませる必要が生じます。これが許されないわけではありませんが、あまり美しく無いですね。そこで、筆者は1,3,5,7,・・・のように奇数(又は偶数)のみを使い、符号(数字)が足りなくなったら最も近い偶数(又は奇数)を割り振るという方法を取ることもあります。

(2)図面中には、「電源回路」のような用語(日本語)を入れない方が良いでしょう。日本の特許出願のみであれば問題は無いですが、外国出願する場合には図面の翻訳文が必要になるからです。上述のように符号や記号を付け、明細書中で「符号の説明」を記載するのが良いと思います。

(3)日本の特許出願ではあまり問題にされませんが、米国等の外国出願を考慮すると符号の大きさ(フォントサイズ)はやや大きめにしておく方が良いでしょう。細かいことですが文字の半角・全角、アルファベットの大文字・小文字など、自分なりのルールを決めておきましょう。はじめから完璧な明細書を書くことは出来ませんが、例えば、国内優先権主張出願をするときに文字の修正や用語の統一を確認するのが良いでしょう。

Startup Foreign Patent Post29

外国出願費用を削減する(その5)。 外国出願をする上で避けて通れないのが海外(外貨)送金です。 (1)現地代理人への支払いは多くの場合、指定された口座への銀行送金でしょう。ネット送金を使えるので以前に比べずっと簡単になりました。一回の送金毎に送金手数料(2,000円前後)がかかります。短期間に同一請求人から複数の請求書がある場合はまとめて送金すれば、手数料を節約することができます。現地代理人への支払いをクレジットカードで決済した経験はありません。 (2)米国特許庁への特許維持年金の支払いもネット送金で済ませることができます。クレジットカードでの支払いも可能ですが、手持ちのよく知られたクレジットカードでの支払いはできませんでした。メジャーなクレジットカード会社であっても、格付けや信頼度の高いタイプでないと受け付けないようです(詳細は不明)。なお、中国とインドについても年金納付することがありますが、現地代理人経由で納めています。件数が少ないことと、現地通貨でなく米ドル又は円貨で現地代理人宛に送金し、現地通貨で処理してもらうためです。 (3)Post21でも触れましたが、米国特許の場合も特許維持年金の納付期限管理が重要です。期限までに納めないと本来の年金額にさらに加算した金額を納める必要があるからです。また、日本のように「特許(登録)料支払い期限通知サービス」はありません。現地代理人が事前に年金納付案内を出してくれる場合もあります。このように様々な期限管理対象があるので見落とさない工夫をしましょう。

Startup Foreign Patent Post28

外国出願費用を削減する(その4)。 (1)国内出願と異なり、外国出願では指定の外国語に翻訳する必要があります。ここでは米国出願を前提に、英語翻訳の場合について触れたいと思います。翻訳を外部に委託する場合は、その費用は凡そ総単語(word)数×1word当たりの単価で計算されることが多いようです。詳しくはネット検索してください。1word当たりの単価にはバラツキがあり、「翻訳の質」については何とも言えません。翻訳費用は明細書(日本語)のボリュームに依存しますが、多くの場合20万円以上かかるでしょう。 (2)翻訳を外注する予算がない場合は自分で翻訳するしかありません。求められる語学力は受験英語程度で充分でしょう。近年、機械翻訳(無料)の実力向上が目覚ましいので、これを活用しない手はありません。当初は苦労しながら一文ずつ翻訳していました。これに比べ機械翻訳の恩恵は何と言っても精神的負担が劇的に軽減されることでしょうか。数十秒以内に一応全文が英訳されるので、あとは細かいところに手を入れていけばよいわけです。 (3)機械翻訳の正確性、或いは翻訳結果の満足度は翻訳ソフトの能力に依存する部分も有りますが、原文(日本語)がどうであるかにも大きく依存します。もし、翻訳ソフトを使った結果が大きく期待を裏切るものであれば、まず原文(日本語)を見直してみましょう。 (4)どうすれば良い機会翻訳結果を得られるか?日本語、英語を問わず、例えば研究論文等の執筆に関してよく指摘されることは、 1.長い文章を避ける(one sentence one meaning)。  2.曖昧な表現を避ける。自ら翻訳すると、自分が書いた日本語に悩まされることがあります。 3.出来るだけ受動態よりも能動態を使う。 これらは、機械翻訳の対象となる日本語の記載にも当てはまると思います。なお、特許明細書等を対象にした英語翻訳に関する解説書も出版されているようです。詳細はそちらも参考にしてください。  

Startup Foreign Patent Post27

外国出願費用を削減する(その3)。 (1)現地代理人に支払う費用には、その国の特許庁に納めるべき費用(Official fee)と出願等を依頼する特許事務所に支払う費用があります。Official feeは本来、規則で決まっているので削減することはできません。しかし、米国出願の場合、出願人が個人か、或いは企業規模等によって出願費用や特許年金等を減額してもらえる制度があります。Micro Entity、Small Entityなどと呼ばれる分類に該当するか否か事前に確認しておきましょう。 (2)これに対し特に米国出願の場合、現地の特許事務所に支払う費用は担当者(弁護士等)が費やした時間に大きく依存します。そのため、出願人側でできることはなるべく済ませることが重要です。よくあることですが、特許事務所に丸投げすることは禁物です。費用の問題のみならず、特許出願の「質」にも大きく影響するためです。米国の特許事務所とはメールでやりとりすれば十分で、電話等で直接会話する必要性はまず無いでしょう。 (3)現地特許事務所の担当者が費やす時間を削減するには、発明の内容を短時間にかつ的確に理解してもらうことが重要です。単に翻訳文を渡すだけではなく、簡単な補足資料を作るようにすると良いでしょう。補足資料には関連する文献(英文)や従来技術との相違を説明する比較表(図)などが考えられます。  

Startup Foreign Patent Post26

外国出願費用を削減する(その2)。 (1)敢えて国際特許出願(PCT)制度のデメリットを挙げるとすると、受理官庁(日本の特許庁)に国際特許出願時に求められる願書(ローマ字)、明細書(日本語)、図面等を揃え、諸費用(十数万円以上)を納付する必要があることです。また国内出願と同様に、インターネット出願できますが、初心者には扱いにくいユーザーインターフェースと感じています。慣れるまでは、INPIT(Post5参照)の専門家に助けてもらって、その場で出願を完了するのが近道と思います。 (2)国際特許出願(PCT)制度を利用せず、直接対象国に出願することもできます。これをPCTルートに対し、パリルートと呼ぶことにします。但し、パリルートの場合、原則として優先日から12か月以内に出願書類(翻訳文)を対象国の特許庁に提出しなければなりません。しかし、この期間は、既に述べたように国内優先権主張出願や早期審査の申請など国内処理で忙しいでしょう。そのため経験の浅いスタートアップにとってはハードルが高いかもしれません。しかし、PCTルートにかかる費用は発生しません。例えば、PCT出願をした後に、実際には一か国にしか出願書類を提出しなかった場合などは、パリルートの方が安上がりとも言えます。PCTルートを介しても、各国に国内移行するときにパリルートと同様の費用が必要になるからです。 (3)パリルートはスタートアップにとって容易ではありませんが、国内優先権主張出願の場合と同様、必ずしも優先権の基礎とした国内出願をそのまま翻訳し提出する必要はありません。例えば、米国出願の場合、誤記等の訂正のみならず新たな実施例の追加、現地代理人のアドバイスを受け加筆、図面等の補充などもできます。さらに、PCTルートの場合に比べ、米国特許庁への出願が約1年半早くなるので、それだけ審査開始、権利化までの期間が短縮される効果も期待できます。スタートアップにとって極めて重要な発明であり、かつ優先権主張期間(12か月)内に、英語翻訳の準備ができそうであれば、パリルートにチャレンジしてはどうでしょうか。

Startup Foreign Patent Post25

外国出願費用を削減する(その1)。 (1)本稿から外国出願について投稿しようと思います。すでにPost19で言及したように、外国出願をするか否か慎重に検討する必要があります。出願までにかかる費用と権利化前後(拒絶理由対応や維持年金等)にかかる費用が高額になるためです。日本国内で出願する場合と異なり、外国出願する場合には各国特許庁に対する出願手続きを現地代理人に委託する必要があります。さらに、各国特許庁が求める言語に翻訳する必要があります。 (2)それでも、競合他社や市場がグローバルであれば外国出願を検討せざるを得ないでしょう。日本特許は、日本国内においてのみ効力を有するからです。そうは言っても日本以外に3か国,4か国と出願対象国を増やせば支払う費用の総額もどんどん増えてしまいます。外国出願する価値があるか否か判断できない場合や出願予定国数が増えそうな場合は、国際特許出願(PCT)制度の利用を考えましょう。各国特許庁への出願書類(翻訳文)の提出期限を原則として優先日から30か月が経過する前まで先送りできるからです。また、国際特許出願時に対象出願国数を制限する必要はなく、PCT締約国を幅広く指定しておくことができます。 (3)対象国に対する翻訳文の提出期限には約2年半の猶予期間があるので、その間に優先権の基礎とした日本特許出願に対する審査結果も出ているでしょう。また、市場動向の変化や他のアイディアを思いつき、相対的に外国出願の重要性が低下する場合も想定されます。このように短期間に外国出願の要否判断、或いは大きな出費リスクを避けることができるのが国際特許出願(PCT)制度の最大のメリットでしょう。

Startup Japanese Patent Post24

投稿(Post1~19)のまとめと補足(その5) (1)特許出願(国内)を自ら行うにはハードルが高いと言う声をよく聞きます。筆者も初めから苦も無く出来たわけではありません。技術・商品分野にもよりますが、スタートアップ等にとって特許権を保有することは必須要件でしょう。特許出願に消極的な人は、特許法を知らないとか経験が無いことを理由に挙げるでしょう。これに対する筆者の見解は次の通りです。理工系の大学を出ているか企業等において技術系の仕事に従事した経験があり、かつ自動車の「運転免許」を持っている人であれば上記の言い訳はできないでしょう。大学における専攻や企業における実務経験は特許技術の基礎的バックグランドでありおそらくほとんどの本ブログ読者の方はこの条件を満たしているでしょう。他方、皆さんは就職する前、即ち学生時代に運転免許を取得したと思います。運転免許を取得するためには、交通法規と運転技能を習得する必要があり、それなりに時間とお金を投資したと思います。特許出願に必要なスキルも同様に関連「法規」と「(書類作成)技能」を習得すればよいわけです。 (2)特に資金に乏しいスタートアップは、技術・商品開発に投じた時間と労力が無駄にならないようにすべきです。そのためには他社の研究開発動向(特許)を調査し、同時に自社の独自技術を権利(特許)化しておきましょう。特許庁の審査官による審査が100%正しいとは限りません。しかし、特許庁という最も信頼ができる第三者機関の評価を得ていることは大きな励みになり、さらに新たな技術開発にも拍車がかかるでしょう。ぜひチャレンジしてください。

Startup Japanese Patent Post23

投稿(Post1~19)のまとめと補足(その4) (1)本ブログでは、企業等における実務経験を有する個人やスタートアップ等を念頭に、如何に経費を抑制しつつ有効な特許権取得につなげるかについて私見を述べてきました。他方、工学系大学院における研究対象の多くは産業界とも関連が深いと思います。例えば、リニア新幹線やEVが登場する以前から国内外の大学(院)や研究機関において(常温)超電導物質や個体電池等の基礎研究が進められてきました。現在、世界中の企業や研究機関がその実用化に向けてしのぎを削っています。 (2)そう考えると特許権取得の重要性はスタートアップ等に限らないでしょう。多くの大学(院)や研究機関にはTLOと呼ばれる組織があり、特許出願や技術移転をサポートしていると思います。私見ですが、大学院生であれば卒業までに自身の研究成果について少なくとも一件くらいは特許権を取得したいものです。特に関連する論文のリストや図面等の作成は研究(修士・博士)論文の作成のみならず、特許出願書類にも流用できます。すでに繰り返し述べてきたように、先行技術調査や特許出願書類の作成、拒絶理由対応等を自ら行うことにより、研究成果の客観的価値をより一層高めることができるでしょう。

Startup Japanese Patent Post22

投稿(Post1~19)のまとめと補足(その3) (1)本ブログの主要課題である「いかに知財関連経費を低く抑えるか」について補足します。これまでの投稿では主に出願から登録に至る過程を対象にしてきました。めでたく特許査定、登録になった後も必要経費がゼロになるわけではありません。日本では、請求項数によって支払う手数料や特許維持年金額が変動する「請求項加算」の制度を採用しています。スタートアップその他小規模事業者や大学研究機関等であれば特許登録後10年までは各種減免措置を受けられますが、11年目以降はこのような減免措置を受けられません。このことから、請求項数と11年目以降の年金額には注意が必要です。 (2)他方、外国では「請求項加算」制度のない国、或いは日本より特許年金が低く抑えられている国もあります。特に、日本において上記の「各種減免措置」を受けられなくなった後は、特許権を維持すべきか否か決断を迫られるかもしれません。筆者の場合も日本特許の維持を断念し、対応する米国特許のみを残した例があります。年金額が安く、英文であること、及び優秀な米国代理人が出願明細書を精査してくれたからです。特許庁には、特許登録後11年目以降もスタートアップ等に対する特許年金の減免制度を適用して欲しいものです。

Startup Japanese Patent Post21

投稿(Post1~19)のまとめと補足(その2) (1)特許出願の願書には「整理番号」を記載します。整理番号の付与方法については予めルールを決めておきましょう。出願の順に、例えばPatent-1、Patent-2・・・と仮定します。最初の出願(Patent-1)の後に別の出願(Patent-2)をし、さらにその後に最初の出願(Patent-1)を基礎とした国内優先権主張出願(Patent-3)をするとします。Patent-2がPatent-1とPatent-3の間に入ってしまいますが、Patent-1はみなし取り下げになるのであまり気にする必要はないでしょう。総出願件数が100件を大きく上回ることはないでしょうから、番号数字の桁数は2又は3桁(01,02,03,・・・、或いは001、002,003,・・・)で充分でしょう。 (2)特許出願の明細書には「先行技術文献」を記載することになっています。多くの場合、先行技術文献は国内外の特許公開(又は登録)公報でしょう。これらをどのようにストックし、必要な時に引き出せるようにするか。筆者は未だに良い方法にたどり着いていません。最初の頃はどのフォルダーにコピーしたか記憶していますが、類似分野の出願件数が増えてくると徐々に混乱してきます。特に米国出願時には情報開示義務(IDSの提出)があり、その時のためにもフォルダーの階層やファイル名の付与ルールを工夫しておきたいものです。 (3)前回のブログ(Post 20)において、期日(期間)の管理が重要であると記載しました。筆者が失敗した期日管理に特許維持年金納付があります。まとめて数年分或いは全額納付する場合を除き、毎年期日までに支払う必要があります。これを怠り、指定期日後(6か月以内)にペナルティを含め倍額支払ったことがあります。また、指定期日後6か月が経過すると救済手段がありません(指定期日に特許権消滅)。そこでお勧めなのが、特許庁のウエブサイトからアクセスできる「特許(登録)料支払い期限通知サービス」です。案件ごとに納付期限が近づくとメールで知らせてくれます。この通知を受け取ったら、特許権を放棄する場合を除き、すぐに納付手続きを済ませましょう。

Startup Japanese Patent Post20

これまでの投稿(Post1~19)のまとめと補足(その1) (1)特許出願の実務を自分で行うことにより必要経費を大幅に削減でき、より多くの新たな特許出願が可能になること。また「国内優先権主張出願」と「早期審査制度」を組み合わせるアプローチは特許技術の強化に留まらず、外国出願時においても重要であることを強調しました。 (2)「特許出願の実務を自分で行うこと」には様々な異論があることも承知しています。それでもなぜこれをお勧めするのでしょうか。筆者の経験ですが「特許出願の実務」、例えば手書きのスケッチから正式な図面に浄書するには手間と時間がかかります。これを他人任せにすべきでないというのが持論です。単純作業に見え、できればだれかにやってもらいたいと思うかもしれません。しかし、この作業をしていると技術的な誤りやもっと良い構造や方法を思いつくことがよくあります。明細書(文章)作成においても同様です。おそらく脳の中で漠然とイメージしていたものが客観的に整理され「見える化」することで新たな刺激を脳に及ぼすのでしょう。 (3)「国内優先権主張出願」をする上で最先の出願日から1年(12ケ月)以内の期間が極めて重要であることを強調しました。さらに注意して欲しい期間に最先の出願日から「1年6ケ月」があります(Post9参照)。どのような出願であっても事前に取り下げない限り、最先の出願日から1年6ケ月が経過すると全て出願公開されます。外国出願も同様です。そのため、少なくとも自身の出願公開(或いは特許)公報が以後の自身の特許出願の拒絶引例にならないようにすべきです。そのためには最先の出願日から1年6ケ月が経過する前までに、関連する自身の他の特許化すべき案件をできるだけ多く出願しておくべきです。「関連特許の出願」については別の機会に改めて紹介したいと思います。

Startup Japanese Patent Post19

審査請求と拒絶理由通知に対する対応(その3) (1) 拒絶理由通知に対する対応をしているとそろそろ最先の出願日から1年の期間が迫ってきます。拒絶理由通知に示された審査官の見解、引例等を考慮して本発明を外国出願するかどうか決める必要があります(Post 8, 11参照)。外国出願については現地代理人(特許事務所)に支払う費用や翻訳費用が発生するので、支払う費用の総額がとても大きくなります。 (2) そもそもなぜ外国に出願する必要があるのか十分に検討してみる必要があります。発明が対象とする技術分野(商品)、想定する販売先や生産国などが頭に浮かぶと思います。日本特許もそうですが、権利取得までの費用に加え特許維持年金の支払いも重くのしかかります。米国以外の特定の国に出願することが決まっている場合を除き、まずは米国出願にチャレンジしてはどうか?というのが筆者の見解です。 (3) その理由は受験英語程度のスキルを前提に、  1. 使用する言語が英語なので、自身で翻訳(機械翻訳併用)すれば翻訳費用がかからないこと。米国以外にも、例えばインドも「英語」で出願できます。  2. 現地代理人と直接英語でメールのやりとりができ、英文の手直しもしてくれること。また広く世界中の人に「特許公報」を読んでもらえること。  3. 「継続出願」など出願人にとって極めて有益な制度があること。 強いてマイナス面を挙げるとすれば、現地代理人に支払う費用が高額になりがちなことです。これをどう抑制するかについては、改めて経験談をご紹介したいと思います。

Startup Japanese Patent Post18

審査請求と拒絶理由通知に対する対応(その2) (1) 「早期審査請求」を行うと、書式等に問題が無ければ1ヶ月から遅くとも3ヶ月以内には審査官から審査結果が通知されます。審査結果は拒絶理由無し(特許査定)か、拒絶理由有りのいずれかです。「拒絶理由通知」を受け取ってもがっかりしたり審査官に不満を抱いたりしないようにしましょう。そのような時は数日空けてから改めて拒絶理由や引用文献を精査することをお薦めします。応答期限は通知書の発送日から60日以内なので、できれば30日以内に何らかの対応をしたほうが良いでしょう。国内優先権主張出願に乗り換える場合の時間的余裕を持たせるためです。 (2) 「拒絶理由有り」の場合には、次のような対応が考えられます。  1. 請求項を補正し再度審査官の見解を待つ(最も多いケース) 請求項の補正方法等に関しては以前の投稿(Post14)でも触れた特許に関する参考書や特許庁主催のセミナー資料を参考にしてください。  2. 国内優先権主張出願に乗り換える 拒絶理由に示された引例等を精査した結果、請求項を補正しても(多くの場合請求項の技術範囲が狭められる)特許権としての効力が見劣りする場合もあります。そのような場合は、新たな実施例を追加したり請求項の構成を見直したりするのが良いでしょう。最先の出願日から1年以内であれば、国内優先権主張出願に乗り換えるべきでしょう。「拒絶理由通知」を受け取った現特許出願は国内優先権主張出願の基礎とされるだけなので特に対応する必要はありません。  3. 現特許出願を取り下げる(最先の出願日から1年3カ月以内) 上記1, 2のいずれの対応も困難な場合は、特許出願そのものを取り下げるべきでしょう。出願公開されることによる不利益を回避するためです。自身の特許出願が先に公開されることにより、以後の自身の別出願に対する拒絶引例とされることがあります。また第三者にヒントを与える可能性もあるからです。 (3) 「拒絶理由無し」の場合には、定められた期間内に登録料を納付します。この場合も登録料の減免申請を忘れないようにしましょう。

Startup Japanese Patent Post17

審査請求と拒絶理由通知に対する対応(その1) (1) 国内優先権主張出願をフル活用するため、最先の出願日から約8ヶ月が経過する前頃までに(早期)審査請求を行います。まず「出願審査請求書」を作成します。ここで忘れてはいけない項目に「手数料に関する特記事項」があります。例えば、「特許法等関係手数料令第1条の2第1号ロに掲げる要件に該当する請求人である」などの減免理由を記載します。自分(出願人)がどの減免対象となりうるか予め調べておきましょう。 (2) 同時に早期審査の請求を行います。正式には「早期審査に関する事情説明書」と呼ばれる書面の提出が必要です。本書面では、「先行技術の開示及び対比説明」の記載が求められます。最も関連があると思われる先行技術文献、多くの場合特許(公開)公報等を2~4件程度列挙し、簡単に出願に係わる発明との差異を説明します。A4の用紙1~2枚以内に収まる程度の記載で充分でしょう。あまり深刻に考える必要は無いと思います。 (3) 「出願審査請求書」の提出と同時に「補正書」も提出することができます。誤記等の訂正や既に提出した明細書の記載範囲内において請求項の追加、削除、補正等が可能です。なお、特許庁のウエブサイト等で「出願審査請求書」、「早期審査に関する事情説明書」等のサンプルを見ることができるので詳細はそちらを参照してください。

Startup Japanese Patent Post16

出願明細書・図面をどう書くか(その3) (1) 明細書作成にまだ慣れないときはなかなか筆が進まないものです。しかしあまり時間をかけ過ぎると競合他社が先に出願してしまうかもしれません。既に述べたように、スタートアップは国内優先権主張出願を最大限活用すべきです。そのため最初の出願明細書が不満足な仕上がりであっても、出願書類の提出を急ぐ必要があります。出願書類提出後、数日後に改めて明細書や図面を見直してみると、誤記や記載の修正、加筆等が必要なことに気付くでしょう。また、新たな実施例や構造等を思いつくことも少なくありません。 (2) このように最初の出願を基礎とした国内優先権主張出願によりさらに充実した内容に仕上げることができます。当然、請求項についても上位の概念と下位の概念がより明確になり、独立請求項とその従属請求項の並びが自ら決まってくるでしょう。国内優先権主張出願の書面(特許願)には、「先の出願に基づく優先権主張」の項目を追加します。

Startup Japanese Patent Post14

出願明細書・図面をどう書くか(その1) (1)たくさんの解説書が出版されています。詳しく勉強されたい方は、技術系書籍が充実している大型書店に行くのが良いでしょう。いくつかの参考書を手に取って自分に向いているものを一冊選べば充分でしょう。出願明細書の構成は「発明の名称」から始まり、最も重要な「発明が解決しようとする課題」、「課題を解決するための手段」、「実施例」、「図面」、「特許請求の範囲」と続きます。これらのどこから書き進めるかですが、書きやすい順に書けば良いでしょう。 (2)「背景技術」から書き始めるパターンは、起承転結の思考形態と言えます。この順の問題点は、「特許請求の範囲」に到達するまでに手間取ることです。「特許請求の範囲」、即ち結論が明確になっていないと、途中で実施例や図面の追加、修正等が多くなるようです。物事を報告するときに「結論から先に言え」とよく言われることがありますが、それと似ています。自分の発明を、「要するに・・・」、「一言で言うと・・・」と言えるかどうかです。自問自答してすぐ出てくるようであれば問題ないでしょう。しかし、発明者本人の頭の中にはいろいろな実施例が浮かんでおり、以外とすぐに言えないものです。実施例や図面を書く筆が進まないときは特許請求の範囲(結論)が明確か確認するのも良いでしょう。

Startup Japanese Patent Post13

補足(その2) (1)自身の発明については、出願公開される(出願日から18ヶ月後)までは他者に「話さない」、「書かない」、「見せない」のが原則です。スタートアップが投資家の前で行うビジネスピッチにおいて保有するコア技術(特許等のIP)について尋ねられることも多いと思います。自社の技術的強みを言いたくなりますが、投資家等には守秘義務が有りません。 (2)「特許の新規性喪失の例外規定(特許法30条)」を適用せざるを得ないような刊行物等への発表は避けた方が良いでしょう。なぜなら特許出願前の自らの発表によって当該特許出願の新規性が喪失しないとする特例に過ぎないからです。スタートアップが特許出願(又は出願公開)前にその内容を公知にするようなことは絶対にあってはならないと考えます。 (3)以前の投稿で述べた「早期審査」に関し、スタートアップが注意すべき点があります。早期審査請求によって、一発で特許査定になることもあります。そうすると期限までに登録料を支払いますが、特許庁は登録料受領後、特許掲載公報を発行します。筆者の経験では早期審査請求日から特許掲載公報の発行日まで、最も早いケースで3ヶ月程度だったことがあります。即ち、出願公開日(出願から1年6ヶ月後)よりも特許掲載公報の発行日が早くなる場合があります。そのため、早期審査請求のタイミングを見極めることも重要でしょう。

Startup Japanese Patent Post12

補足(その1) これまでの投稿で十分でなかった点について補足したいと思います。 (1)「発明者」と「出願人」をどうするか? 発明者1人、かつ出願人が1人又は1社の場合にはあまり問題は無いでしょう。しかし発明者、或いは出願人(法人又は自然人)が複数のケースは注意が必要です。スタートアップは多くの場合、ともすると仕事に追われ、特許出願は取りあえず出しておけば良いと思われるでしょう。スタートアップ内の異なる技術者がそれぞれ発明者となったり、複数のメンバーの共同発明になるケースも多いでしょう。仮にスタートアップのメンバーの一部が離脱(退職)した場合でもその離脱者には発明者(或いは出願人)としての権利が残ります。或いは、社外協力者や企業との共同出願となる場合も考えられます。個人的な見解ですが、できるだけ他社との共同出願は避けたいと考えます。なぜならばスタートアップが保有する共有特許の持ち分を他社にライセンスや売却等する場合、他の共同出願人の了解が必要になるからです。 (2)このような問題は簡単には解決せず、争いになることも珍しくありません。できればスタートアップ創業の早い段階で予め特許等の知的財産の取り扱いについてルール化しておくのが良いでしょう。同様に他社、或いは大学等との共同出願についても慎重に検討すべきでしょう。発明者が「従業員」であれば「職務発明」に関する規定を理解しておく必要があります。職務発明については特許庁のホームページ等に説明があるので参考になります。

Startup Japanese Patent Post11

効率的な特許出願を目指そう(その6) (1)1月17日付の投稿にも書きましたが、日本の特許出願を基礎として外国出願することができます。多くの場合、国際特許(PCT)出願を選択すると思われます。取りあえず最先の出願日から1年以内に国際特許(PCT)出願に必要な書類(明細書は日本語でOK)を受理官庁(特許庁)に提出しておけば、翻訳費用や現地事務所に支払う費用を約30ヶ月先延ばしできるからです。しかも出願対象国数に制限が無いので、表現は悪いですが、多数の国にいわば「唾を付けて」おくことができます。 (2)しかし、この自国受理官庁に対する国際特許(PCT)出願をする場合、スタートアップに認められる費用軽減措置を受けてもおそらく10万円以上の費用がかかります。そこでやはり最先の出願日から1年以内に行う国内優先権主張出願と早期審査請求の組み合わせが極めて有効です。なぜなら特許性があまり期待できないことが予め分かれば、外国出願を見合わせるか否かの判断材料にもなるからです。

Startup Japanese Patent Post10

効率的な特許出願を目指そう(その5) 時期的要件の他の例について見てみましょう。国内優先権主張出願が可能な期間(1年)内に早期審査請求をし、どのような公知技術が存在するかを知ることはスタートアップにとって極めて有用です。筆者の経験では早期審査請求後、約1~2ヶ月後に最初の拒絶理由通知が出されるようです。この点を考慮すると、出願後6ヶ月前後までに早期審査請求書を提出した方が良いでしょう。拒絶理由通知の内容を精査し、国内優先権主張出願(X’)をします。国内優先権主張出願(X’)と同時に再度早期審査請求をすることも可能です(下図のA点)。無論、国内優先権主張出願が可能な期間(1年)経過後であって審査請求可能期間(3年)内であれば、再度早期審査請求することができます(下図のB、C点)。国内優先権主張出願は、国内優先権主張出願可能な期間(1年)内であれば何度でもできます。  

Startup Japanese Patent Post9

効率的な特許出願を目指そう(その4) 時期的要件についてまとめてみましょう。最もシンプルな例を図解します。即ち、先の出願(X)の後に新たな実施例等を追加した国内優先権主張出願X’を先の出願日から1年以内に行います。先の出願(X)を後の出願X’に乗り換えたことになります。後の出願X’は、先の出願(X)の出願日から1年6ヶ月後に出願公開され、その内容は公知となります。そのため、新たな類似出願Yは、その内容にもよりますが、なるべくこのX’の出願公開日より前に出願しておきましょう。みずからの出願X’によって、類似出願Yの拒絶引例になる可能性があるからです。スタートアップは短期間に複数の特許出願を行うことが多いので、特に要注意です。なお、他社の類似出願Zの出願日が、図示するようにA,B,C,Dの4つのケースが考えられます。自社出願X’(X)、及び出願Yに対し、他社の類似出願Zがどのような場合に先願と認められるか考えてみるのも良いでしょう。        

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効率的な特許出願を目指そう(その3) (1)繰り返しになりますが、早期審査制度と国内優先権主張出願をフルに利用することがスタートアップにとって極めて重要です。多くの方がご存知と思いますが、出願した特許の内容(明細書)は、基本的に出願日から1年6ヶ月経過後に出願公開されます。即ち、出願公開後には明細書の内容が公知になり、公開後の類似の特許出願に対する拒絶理由(引用文献)になる可能性があります。これはよくあることなので、早期審査制度を利用するスタートアップは十分注意しなければなりません。 (2)もう一つ忘れてはいけないのが、国内優先権主張出願の時期的要件です。国内優先権主張出願は、最初の特許出願の日から1年以内に認められた制度です。即ち、最初の特許出願日から1年以内に実施例、及び請求項等の追加・修正等を目的とした国内優先権主張出願をフルに活用すべきです。さらに早期審査請求後に通知された拒絶理由通知(拒絶理由と引用文献)を精査し、実施例や請求項の見直しと追加を行い、これも国内優先権主張出願に反映させます。このようにスタートアップにとって関連する一連の特許技術についてはこの最初の一年が最重要であり、漏れの無い特許出願を目指しましょう。 (3)なお国内優先権主張出願制度ですが、「国内」と限定しているように日本の特許出願(国内)にのみ適用される制度です。日本の特許出願を基礎として国外に外国出願することも可能です。即ち、最先の日本特許出願日からやはり1年以内に直接他国に出願、或いは国際特許(PCT)出願することにより、出願対象国においても最先の日本特許出願日に出願されたものとして当該国における先後願を判断してもらえる(優先権)制度です。スタートアップにとって米国等への外国出願は必須と思われます。このように最初の一年は非常に重要であり、大変忙しい期間と言えます。

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効率的な特許出願を目指そう(その2) (1)「効率的な特許出願」とは金銭的な観点とそれ以外にも留意すべき観点があります。金銭的な観点については既に述べてきたように、スタートアップにとっては出費を如何に抑えるかが重要です。さらに特許査定までの時期的観点、或いは特許権(クレーム)がカバーする技術的範囲にも留意する必要があります。 (2)時期的観点については、多くのスタートアップが利用できる「早期審査制度」の活用が必須です。また、特許権がカバーする領域を強化するには、「国内優先権主張出願」が極めて有効です。恐らく、所属していた企業等において早期審査制度と国内優先権主張出願の両方を経験した方は極めて少ないのではないでしょうか。そのため以前のブログに書いたように、事前に参考書や特許庁主催のセミナー等でこの二つの制度を確実に理解しておくことがなによりも大切です。

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効率的な特許出願を目指そう(その1) (1)経費の削減には外部に支払う金額の削減に限らず、特許出願業務に費やす労力をできるだけ削減すべきことにも留意しましょう。即ち、せっかく時間をかけて完成させた特許出願が特許庁の審査によりあっさり拒絶査定となるようなことは是非とも避けたいものです。そのためには従来技術(公知文献等)の調査は必須です。最低限、日本の特許文献は調査しておくべきでしょう。特許情報プラットフォーム(JーPlatPat)は日頃から活用すると良いでしょう。また特許文献調査に関するセミナー等もあるので、特許庁及び関連組織のHPをチェックしましょう。 (2)特許出願書類(従来技術、実施例、請求項、図面等)を作成した経験の無い人にとっては、慣れるまでは苦痛な作業かもしれません。新たな着想が思い浮かんだらノートやPCに概要をメモしたりスケッチしていると思います。これをベースにして上記の特許出願書類を作成することになります。初めは書きやすいところからスタートして良いと思いますが、完璧を目指さず特許出願までの一連の作業を早めに体験すると良いでしょう。後に触れると思いますが、最初の出願日から一年以内であれば明細書や図面の修正、追加等が出来るからです(国内優先権主張出願)。

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自分の発明は自分で特許権に仕上げよう(その3) (1)タイトルにある「自分の発明は自分で「特許権」に仕上げよう。」とは、上記の事前準備に始まり、特許出願書類の作成、特許出願、審査請求、出願書類(明細書、図面等)の補正、特許登録、特許維持年金の支払いまでの一連の作業を意図しています。これら作業にまだ慣れていない人も多いと思います。分からないことがあれば、各都道府県にある「INPIT知財総合支援窓口」(INPIT:工業所有権情報・研修館)に相談すると良いでしょう。特に自前のパソコンで出願ソフトを使いこなす自信が無い場合には、INPITの端末からネット出願させてもらうこともできます。 (2)特許出願はネット環境さえあれば誰にでも出来るので、スタートアップにとっても大きな設備投資を必要としません。また何か分からないことが有ればインターネットで検索すれば殆どの疑問は解決します。このように、特許出願に関連する仕事は「リモートワーク」に最適と言えるでしょう。

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自分の発明は自分で特許権に仕上げよう(その2) 特許出願書類の作成やインターネット出願等のために用意すべき道具立ては以下の通りです。 (1)パーソナルコンピュータ、ネット環境、電子証明書付のマイナンバーカード、マイナンバーカードリーダ等。 (2)文書作成ソフト(Word等)、及び図面作成ソフト(出来れば、三次元の図面作成が容易なもの)。 (3)必須ではありませんが、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ(複合機等)が有れば便利かもしれません。 そして重要なのが、出願人(自然人又は法人)を予め特許庁に登録し、「識別番号」を入手することです。また、出願手数料等の支払いのために口座引き落としの手続きも済ませておきましょう。これらの手続きも全てオンラインで済ませることができます。

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自分の発明は自分で特許権に仕上げよう(その1) 自分自身で特許出願するために予め準備すべきことは次の通りです。 (1)特許に関する基本事項を理解しておくことです。例えば、特許要件(新規性、進歩性)、補正の方法と時期的制約等です。過去に企業等において特許出願をした経験があれば新規性や進歩性については理解されているでしょう。他方、自分自身で特許出願する場合には明細書の補正方法や優先権制度等について予め理解しておいた方が良いでしょう。 (2)そのためには、「特許」に関する参考書を購入し学習しても良いですが、特許庁主催のオンラインセミナーを利用することをお薦めします。セミナーテキストをダウンロードできますし、ハードコピーを無償で送ってくれる場合もあります。特に理解しておきたいのが、審査官がよりどころとする「審査基準」です。自分が作成した特許請求の範囲(クレーム)を客観的に評価する際にとても役立つからです。

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所属企業における特許出願とは異なるアプローチ(その2) (1)冒頭にも書きましたが、特許出願を自分で行うと試作、測定評価、或いは顧客や投資家向けのデモや売り込みに費やす時間と労力を圧迫します。多くのスタートアップは開発スタート時には既存の量産工場や販売チャネル、確立したブランドイメージなどは持ち合わせていません。有るのは自らのアイディアや技術のみです。せっかく開発した技術・商品等が既に第三者によって特許化され、或いは公開されていれば競争力を失うばかりか投資家の関心を引くことも出来ません。 (2)このようにスタートアップにとって特許権の取得が「肝」であるにもかかわらず、高額な経費を理由に特許出願件数を抑制したり諦めたりしていませんか?特許出願等を自分で行うことにより、必要経費を大幅に削減しより多くの特許出願が可能になります。例えば、市町村税等が非課税の個人の場合、特許出願費用(14,000円)を除く審査請求費用、権利化後の最初の3年分の特許維持年金が免除されます。このように、我が国の特許庁は資力の乏しいスタートアップ等に対し諸費用の減免、早期審査等の優遇措置や様々な支援制度を用意しています。これらを最大限活用することがスタートアップの知財戦略には極めて重要です。

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所属企業における特許出願とは異なるアプローチ(その1) (1)多くのメーカ等には知財部門があり、読者の皆さんは「発明開示書」などと呼ばれる簡単な書面を作成し知財部門に提出した経験があるでしょう。そして後日、「知財部門を交え特許事務所の担当者に発明の内容を説明する」という流れが一般的ではないでしょうか。その後の作業は殆ど全て知財部門と特許事務所が処理してくれます。このような「特許出願体制」が確立している企業や研究機関等では年間1,000件以上の特許出願をしている例も珍しくありません。 (2)当然ながら、スタートアップはこのような「特許出願体制」を期待することはできません。また充分な事業収入が得られていないスタートアップ或いは個人が同じように特許出願から登録までの一連の作業を外部に委託すれば、国内特許1件あたり100万円以上かかることも珍しくありません。研究開発を継続すれば、特許出願件数は5件、10件と増えていくでしょう。