スタートアップのための特許戦略

 独自技術の開発を進めるスタートアップにとって、特許に関する必要経費と業務量は大変悩ましい問題ではないでしょうか。 しかし、スタートアップが自社技術を第三者の模倣から守るには国内外において特許権の取得しか他に手段が無いと思います。

 ここでは、「特許出願明細書作成等の実務をできるだけ自分自身で行う」ことを前提とし ます。そのため特許関連業務にどれだけの時間と費用をかけるかについては読者ご自身の経営判断にお任せします。本ブログの内容は筆者自身の「経験談」であり、全てが正しいとは限りません。本ブログがスタートアップの皆さんの競争力強化と事業の発展に 少しでも寄与できれば幸いです。

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Startup Japanese Patent Post16

出願明細書・図面をどう書くか(その3) (1) 明細書作成にまだ慣れないときはなかなか筆が進まないものです。しかしあまり時間をかけ過ぎると競合他社が先に出願してしまうかもしれません。既に述べたように、スタートアップは国内優先権主張出願を最大限活用すべきです。そのため最初の出願明細書が不満足な仕上がりであっても、出願書類の提出を急ぐ必要があります。出願書類提出後、数日後に改めて明細書や図面を見直してみると、誤記や記載の修正、加筆等が必要なことに気付くでしょう。また、新たな実施例や構造等を思いつくことも少なくありません。 (2) このように最初の出願を基礎とした国内優先権主張出願によりさらに充実した内容に仕上げることができます。当然、請求項についても上位の概念と下位の概念がより明確になり、独立請求項とその従属請求項の並びが自ら決まってくるでしょう。国内優先権主張出願の書面(特許願)には、「先の出願に基づく優先権主張」の項目を追加します。

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Startup Japanese Patent Post15

出願明細書・図面をどう書くか(その2) (1)前回の投稿で述べた「参考書」には、「図面の描き方」について基本的なことが書かれているでしょう。ここでも他ではあまり書かれていないような経験談等を書きたいと思います。 図面中の各構成部分(部品)に対し「1,2,3・・・」等の符号を付けますが、できれば図面順であって連続した数字を付けたいと思います。しかし、既に作成した複数の図面間に新たな図面を追加、或いは新たな構成部分(部品)に符号を付ける必要が生じることも珍しくありません。そうすると新たな符号(数字)が必要になります。例えば、説明の進行に従って、1,2,3,18,4,5,・・・16,17のように「18」を割り込ませる必要が生じます。これが許されないわけではありませんが、あまり美しく無いですね。そこで、筆者は1,3,5,7,・・・のように奇数(又は偶数)のみを使い、符号(数字)が足りなくなったら最も近い偶数(又は奇数)を割り振るという方法を取ることもあります。 (2)図面中には、「電源回路」のような用語(日本語)を入れない方が良いでしょう。日本の特許出願のみであれば問題は無いですが、外国出願する場合には図面の翻訳文が必要になるからです。上述のように符号や記号を付け、明細書中で「符号の説明」を記載するのが良いと思います。 日本の特許出願ではあまり問題にされませんが、米国等の外国出願を考慮すると符号の大きさ(フォントサイズ)はやや大きめにしておく方が良いでしょう。細かいことですが文字の半角・全角、アルファベットの大文字・小文字など、自分なりのルールを決めておきましょう。はじめから完璧な明細書を書くことは出来ませんが、例えば、国内優先権主張出願をするときに文字の修正や用語の統一を確認するのが良いでしょう。

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Startup Japanese Patent Post14

出願明細書・図面をどう書くか(その1) (1)たくさんの解説書が出版されています。詳しく勉強されたい方は、技術系書籍が充実している大型書店に行くのが良いでしょう。いくつかの参考書を手に取って自分に向いているものを一冊選べば充分でしょう。出願明細書の構成は「発明の名称」から始まり、最も重要な「発明が解決しようとする課題」、「課題を解決するための手段」、「実施例」、「図面」、「特許請求の範囲」と続きます。これらのどこから書き進めるかですが、書きやすい順に書けば良いでしょう。 (2)「背景技術」から書き始めるパターンは、起承転結の思考形態と言えます。この順の問題点は、「特許請求の範囲」に到達するまでに手間取ることです。「特許請求の範囲」、即ち結論が明確になっていないと、途中で実施例や図面の追加、修正等が多くなるようです。物事を報告するときに「結論から先に言え」とよく言われることがありますが、それと似ています。自分の発明を、「要するに・・・」、「一言で言うと・・・」と言えるかどうかです。自問自答してすぐ出てくるようであれば問題ないでしょう。しかし、発明者本人の頭の中にはいろいろな実施例が浮かんでおり、以外とすぐに言えないものです。実施例や図面を書く筆が進まないときは特許請求の範囲(結論)が明確か確認するのも良いでしょう。

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Startup Japanese Patent Post13

補足(その2) (1)自身の発明については、出願公開される(出願日から18ヶ月後)までは他者に「話さない」、「書かない」、「見せない」のが原則です。スタートアップが投資家の前で行うビジネスピッチにおいて保有するコア技術(特許等のIP)について尋ねられることも多いと思います。自社の技術的強みを言いたくなりますが、投資家等には守秘義務が有りません。 (2)「特許の新規性喪失の例外規定(特許法30条)」を適用せざるを得ないような刊行物等への発表は避けた方が良いでしょう。なぜなら特許出願前の自らの発表によって当該特許出願の新規性が喪失しないとする特例に過ぎないからです。スタートアップが特許出願(又は出願公開)前にその内容を公知にするようなことは絶対にあってはならないと考えます。 (3)以前の投稿で述べた「早期審査」に関し、スタートアップが注意すべき点があります。早期審査請求によって、一発で特許査定になることもあります。そうすると期限までに登録料を支払いますが、特許庁は登録料受領後、特許掲載公報を発行します。筆者の経験では早期審査請求日から特許掲載公報の発行日まで、最も早いケースで3ヶ月程度だったことがあります。即ち、出願公開日(出願から1年6ヶ月後)よりも特許掲載公報の発行日が早くなる場合があります。そのため、早期審査請求のタイミングを見極めることも重要でしょう。

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Startup Japanese Patent Post12

補足(その1) これまでの投稿で十分でなかった点について補足したいと思います。 (1)「発明者」と「出願人」をどうするか? 発明者1人、かつ出願人が1人又は1社の場合にはあまり問題は無いでしょう。しかし発明者、或いは出願人(法人又は自然人)が複数のケースは注意が必要です。スタートアップは多くの場合、ともすると仕事に追われ、特許出願は取りあえず出しておけば良いと思われるでしょう。スタートアップ内の異なる技術者がそれぞれ発明者となったり、複数のメンバーの共同発明になるケースも多いでしょう。仮にスタートアップのメンバーの一部が離脱(退職)した場合でもその離脱者には発明者(或いは出願人)としての権利が残ります。或いは、社外協力者や企業との共同出願となる場合も考えられます。個人的な見解ですが、できるだけ他社との共同出願は避けたいと考えます。なぜならばスタートアップが保有する共有特許の持ち分を他社にライセンスや売却等する場合、他の共同出願人の了解が必要になるからです。 (2)このような問題は簡単には解決せず、争いになることも珍しくありません。できればスタートアップ創業の早い段階で予め特許等の知的財産の取り扱いについてルール化しておくのが良いでしょう。同様に他社、或いは大学等との共同出願についても慎重に検討すべきでしょう。発明者が「従業員」であれば「職務発明」に関する規定を理解しておく必要があります。職務発明については特許庁のホームページ等に説明があるので参考になります。

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Startup Japanese Patent Post11

効率的な特許出願を目指そう(その6) (1)1月17日付の投稿にも書きましたが、日本の特許出願を基礎として外国出願することができます。多くの場合、国際特許(PCT)出願を選択すると思われます。取りあえず最先の出願日から1年以内に国際特許(PCT)出願に必要な書類(明細書は日本語でOK)を受理官庁(特許庁)に提出しておけば、翻訳費用や現地事務所に支払う費用を約30ヶ月先延ばしできるからです。しかも出願対象国数に制限が無いので、表現は悪いですが、多数の国にいわば「唾を付けて」おくことができます。 (2)しかし、この自国受理官庁に対する国際特許(PCT)出願をする場合、スタートアップに認められる費用軽減措置を受けてもおそらく10万円以上の費用がかかります。そこでやはり最先の出願日から1年以内に行う国内優先権主張出願と早期審査請求の組み合わせが極めて有効です。なぜなら特許性があまり期待できないことが予め分かれば、外国出願を見合わせるか否かの判断材料にもなるからです。

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Startup Japanese Patent Post10

効率的な特許出願を目指そう(その5) 時期的要件の他の例について見てみましょう。国内優先権主張出願が可能な期間(1年)内に早期審査請求をし、どのような公知技術が存在するかを知ることはスタートアップにとって極めて有用です。筆者の経験では早期審査請求後、約1~2ヶ月後に最初の拒絶理由通知が出されるようです。この点を考慮すると、出願後6ヶ月前後までに早期審査請求書を提出した方が良いでしょう。拒絶理由通知の内容を精査し、国内優先権主張出願(X’)をします。国内優先権主張出願(X’)と同時に再度早期審査請求をすることも可能です(下図のA点)。無論、国内優先権主張出願が可能な期間(1年)経過後であって審査請求可能期間(3年)内であれば、再度早期審査請求することができます(下図のB、C点)。国内優先権主張出願は、国内優先権主張出願可能な期間(1年)内であれば何度でもできます。  

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Startup Japanese Patent Post9

効率的な特許出願を目指そう(その4) 時期的要件についてまとめてみましょう。最もシンプルな例を図解します。即ち、先の出願(X)の後に新たな実施例等を追加した国内優先権主張出願X’を先の出願日から1年以内に行います。先の出願(X)を後の出願X’に乗り換えたことになります。後の出願X’は、先の出願(X)の出願日から1年6ヶ月後に出願公開され、その内容は公知となります。そのため、新たな類似出願Yは、その内容にもよりますが、なるべくこのX’の出願公開日より前に出願しておきましょう。みずからの出願X’によって、類似出願Yの拒絶引例になる可能性があるからです。スタートアップは短期間に複数の特許出願を行うことが多いので、特に要注意です。なお、他社の類似出願Zの出願日が、図示するようにA,B,C,Dの4つのケースが考えられます。自社出願X’(X)、及び出願Yに対し、他社の類似出願Zがどのような場合に先願と認められるか考えてみるのも良いでしょう。        

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Startup Japanese Patent Post8

効率的な特許出願を目指そう(その3) (1)繰り返しになりますが、早期審査制度と国内優先権主張出願をフルに利用することがスタートアップにとって極めて重要です。多くの方がご存知と思いますが、出願した特許の内容(明細書)は、基本的に出願日から1年6ヶ月経過後に出願公開されます。即ち、出願公開後には明細書の内容が公知になり、公開後の類似の特許出願に対する拒絶理由(引用文献)になる可能性があります。これはよくあることなので、早期審査制度を利用するスタートアップは十分注意しなければなりません。 (2)もう一つ忘れてはいけないのが、国内優先権主張出願の時期的要件です。国内優先権主張出願は、最初の特許出願の日から1年以内に認められた制度です。即ち、最初の特許出願日から1年以内に実施例、及び請求項等の追加・修正等を目的とした国内優先権主張出願をフルに活用すべきです。さらに早期審査請求後に通知された拒絶理由通知(拒絶理由と引用文献)を精査し、実施例や請求項の見直しと追加を行い、これも国内優先権主張出願に反映させます。このようにスタートアップにとって関連する一連の特許技術についてはこの最初の一年が最重要であり、漏れの無い特許出願を目指しましょう。 (3)なお国内優先権主張出願制度ですが、「国内」と限定しているように日本の特許出願(国内)にのみ適用される制度です。日本の特許出願を基礎として国外に外国出願することも可能です。即ち、最先の日本特許出願日からやはり1年以内に直接他国に出願、或いは国際特許(PCT)出願することにより、出願対象国においても最先の日本特許出願日に出願されたものとして当該国における先後願を判断してもらえる(優先権)制度です。スタートアップにとって米国等への外国出願は必須と思われます。このように最初の一年は非常に重要であり、大変忙しい期間と言えます。

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Startup Japanese Patent Post7

効率的な特許出願を目指そう(その2) (1)「効率的な特許出願」とは金銭的な観点とそれ以外にも留意すべき観点があります。金銭的な観点については既に述べてきたように、スタートアップにとっては出費を如何に抑えるかが重要です。さらに特許査定までの時期的観点、或いは特許権(クレーム)がカバーする技術的範囲にも留意する必要があります。 (2)時期的観点については、多くのスタートアップが利用できる「早期審査制度」の活用が必須です。また、特許権がカバーする領域を強化するには、「国内優先権主張出願」が極めて有効です。恐らく、所属していた企業等において早期審査制度と国内優先権主張出願の両方を経験した方は極めて少ないのではないでしょうか。そのため以前のブログに書いたように、事前に参考書や特許庁主催のセミナー等でこの二つの制度を確実に理解しておくことがなによりも大切です。

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Startup Japanese Patent Post6

効率的な特許出願を目指そう(その1) (1)経費の削減には外部に支払う金額の削減に限らず、特許出願業務に費やす労力をできるだけ削減すべきことにも留意しましょう。即ち、せっかく時間をかけて完成させた特許出願が特許庁の審査によりあっさり拒絶査定となるようなことは是非とも避けたいものです。そのためには従来技術(公知文献等)の調査は必須です。最低限、日本の特許文献は調査しておくべきでしょう。特許情報プラットフォーム(JーPlatPat)は日頃から活用すると良いでしょう。また特許文献調査に関するセミナー等もあるので、特許庁及び関連組織のHPをチェックしましょう。 (2)特許出願書類(従来技術、実施例、請求項、図面等)を作成した経験の無い人にとっては、慣れるまでは苦痛な作業かもしれません。新たな着想が思い浮かんだらノートやPCに概要をメモしたりスケッチしたるしていると思います。これをベースにして上記の特許出願書類を作成することになります。初めは書きやすいところからスタートして良いと思いますが、完璧を目指さず特許出願までの一連の作業を早めに体験すると良いでしょう。後に触れると思いますが、最初の出願日から一年以内であれば明細書や図面の修正、追加等が出来るからです(国内優先権主張出願)。

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Startup Japanese Patent Post5

自分の発明は自分で特許権に仕上げよう(その3) (1)タイトルにある「自分の発明は自分で「特許権」に仕上げよう。」とは、上記の事前準備に始まり、特許出願書類の作成、特許出願、審査請求、出願書類(明細書、図面等)の補正、特許登録、特許維持年金の支払いまでの一連の作業を意図しています。これら作業にまだ慣れていない人も多いと思います。分からないことがあれば、各都道府県にある「INPIT知財総合支援窓口」(INPIT:工業所有権情報・研修館)に相談すると良いでしょう。特に自前のパソコンで出願ソフトを使いこなす自信が無い場合には、INPITの端末からネット出願させてもらうこともできます。 (2)特許出願はネット環境さえあれば誰にでも出来るので、スタートアップにとっても大きな設備投資を必要としません。また何か分からないことが有ればインターネットで検索すれば殆どの疑問は解決します。このように、特許出願に関連する仕事は「リモートワーク」に最適と言えるでしょう。

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Startup Japanese Patent Post4

自分の発明は自分で特許権に仕上げよう(その2) 特許出願書類の作成やインターネット出願等のために用意すべき道具立ては以下の通りです。 (1)パーソナルコンピュータ、ネット環境、電子証明書付のマイナンバーカード、マイナンバーカードリーダ等。 (2)文書作成ソフト(Word等)、及び図面作成ソフト(出来れば、三次元の図面作成が容易なもの)。 (3)必須ではありませんが、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ(複合機等)が有れば便利かもしれません。 そして重要なのが、出願人(自然人又は法人)を予め特許庁に登録し、「識別番号」を入手することです。また、出願手数料等の支払いのために口座引き落としの手続きも済ませておきましょう。これらの手続きも全てオンラインで済ませることができます。

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Startup Japanese Patent Post3

自分の発明は自分で特許権に仕上げよう(その1) 自分自身で特許出願するために予め準備すべきことは次の通りです。 (1)特許に関する基本事項を理解しておくことです。例えば、特許要件(新規性、進歩性)、補正の方法と時期的制約等です。過去に企業等において特許出願をした経験があれば新規性や進歩性については理解されているでしょう。他方、自分自身で特許出願する場合には明細書の補正方法や優先権制度等について予め理解しておいた方が良いでしょう。 (2)そのためには、「特許」に関する参考書を購入し学習しても良いですが、特許庁主催のオンラインセミナーを利用することをお薦めします。セミナーテキストをダウンロードできますし、ハードコピーを無償で送ってくれる場合もあります。特に理解しておきたいのが、審査官がよりどころとする「審査基準」です。自分が作成した特許請求の範囲(クレーム)を客観的に評価する際にとても役立つからです。

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Startup Japanese Patent Post2

所属企業における特許出願とは異なるアプローチ(その2) (1)冒頭にも書きましたが、特許出願を自分で行うと試作、測定評価、或いは顧客や投資家向けのデモや売り込みに費やす時間と労力を圧迫します。多くのスタートアップは開発スタート時には既存の量産工場や販売チャネル、確立したブランドイメージなどは持ち合わせていません。有るのは自らのアイディアや技術のみです。せっかく開発した技術・商品等が既に第三者によって特許化され、或いは公開されていれば競争力を失うばかりか投資家の関心を引くことも出来ません。 (2)このようにスタートアップにとって特許権の取得が「肝」でるにもかかわらず、高額な経費を理由に特許出願件数を抑制したり諦めたりしていませんか?特許出願等を自分で行うことにより、必要経費を大幅に削減しより多くの特許出願が可能になります。例えば、市町村税等が非課税の個人の場合、特許出願費用(14,000円)を除く審査請求費用、権利化後の最初の3年分の特許維持年金が免除されます。このように、我が国の特許庁は資力の乏しいスタートアップ等に対し諸費用の減免、早期審査等の優遇措置や様々な支援制度を用意しています。これらを最大限活用することがスタートアップの知財戦略には極めて重要です。

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Startup Japanese Patent Post1

所属企業における特許出願とは異なるアプローチ(その1) (1)多くのメーカ等には知財部門があり、読者の皆さんは「発明開示書」などと呼ばれる簡単な書面を作成し知財部門に提出した経験があるでしょう。そして後日、「知財部門を交え特許事務所の担当者に発明の内容を説明する」という流れが一般的ではないでしょうか。その後の作業は殆ど全て知財部門と特許事務所が処理してくれます。このような「特許出願体制」が確立している企業や研究機関等では年間1,000件以上の特許出願をしている例も珍しくありません。 (2)当然ながら、スタートアップはこのような「特許出願体制」を期待することはできません。また充分な事業収入が得られていないスタートアップ或いは個人が同じように特許出願から登録までの一連の作業を外部に委託すれば、国内特許1件あたり100万円以上かかることも珍しくありません。研究開発を継続すれば、特許出願件数は5件、10件と増えていくでしょう。  

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プロフィール

・運営者: 雫石 誠
・1980年代からシリコンバレー及び企業内において画像同期信号系に最適化した高機能PLDの共同開発、及び世界初のNAND型フラッシュメモリ(東芝製4Mb)を使用したデジタルカメラ用メモリカードの開発と商品化に成功。さらに画素毎に記憶機能を持たせたフローティングゲート型CMOSセンサ等を考案。
・2011年より独自に医療機器分野におけるSDGsを目的とした新構造のCMOSセンサモジュールを発明。大面積X線検出器の高速・低消費電力化によりX線CT等の小型・軽量化が容易になり、モバイルホスピタルの実現が期待される。今日まで国内については自ら、米国、中国、及びインドについては現地代理人に委託し特許権を取得。また、スタートアップの知財戦略サポートやシリコンバレー進出支援にも力を入れている。