補足(その2)
(1)自身の発明については、出願公開される(出願日から18ヶ月後)までは他者に「話さない」、「書かない」、「見せない」のが原則です。スタートアップが投資家の前で行うビジネスピッチにおいて保有するコア技術(特許等のIP)について尋ねられることも多いと思います。自社の技術的強みを言いたくなりますが、投資家等には守秘義務が有りません。
(2)「特許の新規性喪失の例外規定(特許法30条)」を適用せざるを得ないような刊行物等への発表は避けた方が良いでしょう。なぜなら特許出願前の自らの発表によって当該特許出願の新規性が喪失しないとする特例に過ぎないからです。スタートアップが特許出願(又は出願公開)前にその内容を公知にするようなことは絶対にあってはならないと考えます。
(3)以前の投稿で述べた「早期審査」に関し、スタートアップが注意すべき点があります。早期審査請求によって、一発で特許査定になることもあります。そうすると期限までに登録料を支払いますが、特許庁は登録料受領後、特許掲載公報を発行します。筆者の経験では早期審査請求日から特許掲載公報の発行日まで、最も早いケースで3ヶ月程度だったことがあります。即ち、出願公開日(出願から1年6ヶ月後)よりも特許掲載公報の発行日が早くなる場合があります。そのため、早期審査請求のタイミングを見極めることも重要でしょう。